利鷹です。
前回の記事への「いいね」、有難うございました!
あんな長文読んでくださってる方が旦那さんの他にいるのか……としみじみしています。
ところで。
以前から旦那さんに勧められていた『アンナチュラル』というドラマを、先日ようやく全話履修しおわりました。
我が家の旦那さんは私の二次元的嗜好を把握した上で色んなコンテンツを勧めてくるため、今回も例に漏れずほくほくと楽しみました。
余談ですが私は旦那さんの導きのままにガンダム、アルドノア・ゼロ、十三機兵防衛圏、デトロイト、ゲッターロボ等を履修しては萌えで大の字になるのを繰り返している腐女子です。三十路を越えて今さらシャアムを読み漁ることになるとは思わなかったよね。
閑話休題。
せっかくライフログを記録するためのウェブサイトも作ったことだし、もぐもぐしたコンテンツの感想も載せていきたいよね!
ということで『アンナチュラル』についても書いてみることにしました。
目次
アンナチュラルってどんなお話? こんなお話!
このドラマは、新設された「不自然死究明研究所(UDIラボ)」で働く人々の人間ドラマを中心に描きながら、毎回さまざまな「死」を扱いながらも、スピード感と爽快感を持って、「死」の裏側にある謎や事件を明るくスリリングに解明していく、一話完結型の法医学ミステリーである。
法医解剖医の三澄ミコト(石原さとみ)が働く不自然死究明研究所(unnatural death Investigation laboratory)=通称UDIラボでは、東京都23区外、西武蔵野市を中心に、全国津々浦々で発見された異状死体や犯罪死体を引き受けている。警察や自治体から依頼されて運ばれてくる遺体は年間約400体。その遺体を解剖し、死因を究明するのが、ミコトたちUDIラボの仕事だ。
引用元:『アンナチュラル』公式サイト
公式サイトの説明文の通り、石原さとみ演じる三澄ミコトたちUDIラボのメンバーたちが、日々運ばれてくる遺体を解剖して不自然死の原因を究明するミステリードラマです。ストーリーのなかに社会問題の話題をちりばめながらも軽快なテンポで進んでいくので、ミステリー系では見やすい方のドラマだと思います。結構さらっとホルマリン漬けの人体部位とかえぐい人間関係の話が出てくるので、グロがまったく駄目な人や共感性の強い方だとストレスフルな場面もありますが……
ちなみに利鷹はスプラッタ系は無理だけど医療系なら実写グロもいける、という感じの人間で、ホルマリン漬けは比較的普通に見れました。解剖シーンはメスが入る程度で開いてる部分は大体フレームアウトしてるので、血糊はけっこうべったりしていますが、『ドクターX』より赤い内臓見る機会は少ない気がします。(ドクターXを見ていたころの記憶が遠いのでぜったいに少ないとは言い切れないんですが……)さらっとえぐい人間模様にうわぁ、となったりしていた以外は愉快に駆け抜けることができました。いち視聴者の感想ですが年末年始の一挙放送視聴を悩んでいる方のご参考までに。
とりあえずUDIラボのやりとりが、楽しさ:かわいさ:エモ=4:4:2って感じなので、キャラクターがわちゃわちゃしているミステリー好きの方にはオススメです。
ちなみに私の推しは神倉所長と木林さんです。神倉所長はかわいい枠かと思いきやイイ性格しているうえで情熱と信念を持った男なので、断然推しです。多分男性陣で一番好きです。
木林さんはとにかく人生エンジョイしてそうなので安心して可愛いってめでることができる平和さがあります。最終話の木林さんとかサイコーにかわいいよ。
と、推しのプレゼンをしましたがメインのエモ担当メンズはやっぱり中堂さんと六郎のふたりです。
中堂さんと六郎くんが好きっていう女性、絶対多いでしょこれ……って思いながら視聴していました。
Twitterで「アンナチュラル 中堂」とか「アンナチュラル 六郎」とか検索したらめっちゃ感想でてくるやつでしょ、ねえ。
これも余談ですがこちらのブログ で「中堂系はlemonの擬人化って仰ってるの、めっちゃわかる。
『アンナチュラル』は、女性にとってエモ担当メンズふたりを好きになる要素をこれでもかと詰め込んだヒューマンドラマでした。
こっから先はネタばれを気にせず書き散らすので、未視聴でネタバレが気になる方はそっとお逃げいただければと思います。
三澄ミコトはヒーローだった
アンナチュラルの主人公、三澄ミコトは兎にも角にもまず、かわいい。
職場でブチ切れたりするし、なまあたたかい笑顔で同僚の横暴を眺めてたりするし、仕事の合間にごはんをモリモリかっくらうし、くじけそうになって涙をこぼすこともある。
そんな飾らない姿がたまらなく好き、っていうファンも多いんじゃないかなと思います。
三澄ミコトは、幼いころに母親が起こした一家心中事件で唯一生き残った、という重い過去を持っています。
母親に殺されかけた過去を、引き取ってくれた新しい家族の他には誰にも話さないまま、「理不尽な死には絶対に負けたくない」という思いを抱きながら、法医解剖医として働いている。
でも彼女は救われる側ではなく、救う側なんですよね。
彼女のなかで一家心中事件はすでに「納得はできないが整理のついた過去」であって、だれかにその傷を癒してもらう必要はもうないんですよね。
彼女には既に家族という理解者がいて、ほかの人と過去を共有する必要もなく、珍しい職に従事しているという以外はふつうの社会人として笑ったり怒ったりしながら過ごしている。
だから彼女の感情を揺さぶる出来事は起こっても、彼女を救う物語は描かれない。
『アンナチュラル』で救われるのは、アルバイトとしてUDIラボで働く医学生、窪田正孝演じる久部六郎。
そしてUDIラボで働く同じく法医解剖医、井浦新が演じる中堂系のふたりです。
久部六郎はいわゆる狂言回し的なポジションのキャラクターで、視聴者に法医学の世界についてインストールさせるための視点人物です。
彼は代々医者をやっている家の三男坊で、医大生になったはいいものの、厳格な父親に言われるまま医者になる理由を見いだせずに現在休学中。
アルバイトとして出入りしている出版社の編集者から「UDIラボのネタを探せ」と言われ、UDIラボに送り込まれた迷える青年です。
最初は出版社のスパイとしてUDIラボに入った彼は、三澄ミコトに惹かれながらその傍らで法医学の世界に触れ、次第に命について深く考えるようになっていきます。
第8話では法医解剖医を一般的な医師より格下とみる父親の方針をつっぱねて決別し、出版社のバイトも辞めてUDIラボに残ることを決意。
最終話では法医学の道に進む意思を口にします。
自分の在り方に悩んでいた青年は、三澄ミコトというキャラクターの生き様に導かれてまた歩きはじめました。
そして中堂。中堂系です。
彼は三澄ミコトよりも経験した解剖件数が多いベテラン法医解剖医。しかし他人に対しての態度はとにかく悪く、検査技師にパワハラで訴えられたり、三澄ミコトに「めっちゃ感じ悪いですよ」と言い放たれたりする有様。口癖は「クソ」、遵法意識も低めで、腕は良いがたちの悪い同僚として描かれます。
しかしそんな中堂系にもまた、恋人が何者かに殺されたという重い過去があります。しかもその恋人の遺体が搬送されたのが自分の職場で、自分の手で恋人の遺体を解剖したというあまりにもつらい過去を背負っています。犯人はまだ捕まっておらず、手掛かりを探すために恋人の遺体とよく似た特徴を持つ遺体が出れば、違法行為でUDIラボに運び込んで勝手に調査。いつか犯人を見つけたら、かなうならば殺してしまいたいと願っている――。
周りの人間にはそのことを伝えないまま黙々とひとり調査をしていた彼ですが、とある事件をきっかけに三澄ミコトに違法行為を知られ、そこから中堂系は恋人の事件を三澄ミコトと、そしてUDIラボのメンバーと共有するようになります。(まあ神倉所長は知っていたんですけどね!)
その中で中堂系と三澄ミコトのふたりは、互いの仕事に対して一定の敬意を持つようになっていきます。
そして第9話でとうとう浮かびあがってくる犯人とその共犯者。しかし狡猾で計算高い犯人は26人もの女性を殺しているにも関わらず、確固たる証拠がないために法で裁かれないかもしれない。中堂系は共犯者に証拠を吐かせようと、毒を使って脅迫し、そのままその共犯者を殺そうとします。
そんな彼を止めたのが三澄ミコトと久部六郎でした。三澄ミコトは「中堂さんが負けるところを見たくない」といって彼を引き留める。
……脚本が……すごい……。
中堂系も三澄ミコトも、かつて「理不尽な死」によって近しい人間と死に別れ、ひとり生き残った過去を持っています。
同じ法医解剖医として働き、互いの仕事に対する敬意を持ち、そして「理不尽な死」を間近に経験している。
そんな三澄ミコトと、彼女に第8話で道を示された久部六郎だからこそ中堂系の蛮行を止められた。
……脚本が……すごい……(2回目)。
その後、中堂系の恋人の遺体がアメリカのテネシー州でエンバーミング処置を受けたうえで土葬されていることが分かり、三澄ミコトの再解剖によって犯人の証拠を見つけ出すことに成功します。
ところで、中堂系の恋人をふくむ26人を殺した犯人は、母親から虐待を受けていた過去があり、母親にしつけの一環として口に押し込められていたペット用のボールを被害者の女性の口にも同じように押し込む、という行動を繰り返していました。
犯人もまた、「理不尽」にさらされてたということが分かったのち、三澄ミコトは彼に言い放つのです。
「法医学でわかるのは事実だけ、犯人の意図や目的など分からないしどうでもいい」
「ただ、30歳を過ぎてなお母親に縛られ続けるあなたに、それを乗り越えることができなかった孤独に、心から同情します」
ほんっとうに、脚本が、すごい(3回目)。
三澄ミコトも、中堂系も、彼の恋人を殺した犯人も、「理不尽」に晒された過去を持っていながら、その明暗を分けたのは孤独であるかどうかなのです。
三澄ミコトは新しい家族によって孤独ではなくなり、過去を整理し乗り越えた。
犯人は孤独ゆえに過去に縛られ続けた。
そして中堂系は、三澄ミコトとUDIラボのメンバーと過去を共有し、孤独じゃなくなったんですよ……。
三澄ミコトは迷える青年を導き、過去に縛られ間違いを起こそうとする男の孤独を払い、過去と孤独に負けた悪を断罪する。
まさしく彼女こそが『アンナチュラル』の主人公ヒーロー だわ……。
としみじみとエモを享受しました。ありがとう『アンナチュラル』。めっちゃ面白かったです。
だれかを救いたいという衝動
話が変わりますが、カウンセリングゲームという言い回しを皆さんご存じでしょうか。
一部の乙女ゲームやギャルゲーがそう呼ばれているらしいんですが、性格に難があったり、過去の事件などがきっかけで何かを抱え込んだキャラが攻略対象になっていて、シナリオがカウンセリングの様相になっているゲームを指すんだそうです。
みんながそうだとは言えないんですが、どうにも人は「だれかを救いたい」という衝動を大なり小なり抱えているような気がします。
それは承認欲求からくるものなのか愛情によるものなのか、どういう仕組みで沸き起こるものなのかは門外漢なのでさっぱり分かりませんが、少なくとも私のなかには「だれかを救いたい」という欲求が存在しています。
「どうにかこのキャラクターを救いたい」という動機で二次創作に手をだしたジャンルもそこそこあります。二次創作のなかだけでも幸せにしたい、とか他の方が言ってるのも見かけたことあるし。けっこういろんな人が持っている衝動なんじゃないかなーと考えています。統計も何も取っていないけど。
私はこの衝動を、人を傷つけない形にしておくことができるのかなあ、とぽんやり考えています。
例えば子どもや恋人への過干渉の一部は、この「だれかを救いたい」という衝動のなれの果てだったりするんじゃないかな、と思うのです。
この人を助けたい。この人の力になりたい。この人のゆく道を何の障害もなく、正しいものにしたい。
私は祈りと支配欲をきちんと分け隔てることができているのだろうか。
私は近しい人間に対して、とにかく何もかもをその人にとって良いようにしたいという気持ちがめちゃくちゃ沸き起こるタイプの人間なので、そしてたまにそれで情動がぐっちゃぐちゃになることもあるので、まだこの衝動を祈りのかたちに昇華している自信がない。たとえば、それこそ私と旦那さんが子どもを授かったとして。その時に私はこの衝動ときちんと付き合える人間になれているんだろうか。
『アンナチュラル』を見ながら、そんなことを考えたりしていました。
三澄ミコトは第1話で恋人と別れているし、未婚ゆえに子どももいない。
救う相手は同僚と後輩で、おそらく三澄ミコトは彼らに恋愛感情や肉親相手のような情を抱いていない。
距離感といい何といい、すごいバランスのドラマだな、と思っていました。
もう少しこの衝動との折り合いがついて、自分の生活にその陰がおちないようになったら、もっと身構えずにこういうコンテンツを娯楽として楽しめるのかしらん。
この考え事とはもうしばらく付き合いが続きそうな気配です。
それはそうとしてやっぱり『アンナチュラル』面白かったから『MIU404』も見たい
ありがとうamazon prime!!!!!!
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いつかまた感想記事書きます!!!!!!
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