• 夜明けを願う祝ぎの庭

夜明けを願う祝ぎの庭 3

  • くりつる
  • 不仲な男士有
  • BL表現有
  • 燭鶴
  • パロディ
読了目安時間:21分

なんでもありのハリポタパロ第三話。そんな顔はずるい、とのちに彼は言った。

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冬の夜の話

「ほれ、いつまでもそんなに拗ねるな、光忠」
 クイーンサイズのベッドに沈みながら、安達みつるはけらけらと笑って夫の肩を叩いた。
「だって……あんなにきれいな髪だったのに国ちゃんってば、勝手に切るだなんて……」
「君がそんな風だから、あいつも学校ですっぱり切ってきたんだろうさ」
 似合うんだから良いんじゃないか、とみつるが言っても、国永が帰省してからずっと光忠はこの調子だった。昔から国永の髪の世話をしていたのは彼だから、もしかしたら愛着があったのかもしれないが。女の子でもあるまいし、とみつるはつい苦笑いしてしまう。
 思えば光忠は、国永が幼い頃から随分とあの服を着せよう、この靴がかっこいいときせかえごっこのように服を見繕っては楽しんでいたような男だった。今でこそ髪をいじることはないが、国永への誕生日プレゼントは、今しか着られないであろう衣服ばかりだ。数年もすれば背も伸びるだろうに。
「やれやれ、君は本当、国永を可愛がる」
「光邦だって可愛いけど、やっぱり国永は君とそっくりだから、ついね」
「可愛がるのはいいが、あいつだって男だからな。いつまでもお人形さんのように扱っては拗ねてしまうぞ」
「そういうつもりはないんだけどなあ」
「どうだかなあ。時々私は、光忠は女の子が欲しかったんじゃないかと思うことがあるぞ?」
 冗談めかせてそう告げても、光忠は肩を竦めてみせながら、「本当にそんなつもりはないんだけどな」と苦笑して、みつるの体を抱き寄せる。
「でもまあ、そんな風に見えるなら気をつけるよ」
「ああ。そうしてくれよ、お前様」
 夫の背に腕を回して、みつるはその鼻先に小鳥のようなキスをした。
 
 
 
 国ちゃんが生まれたときはそりゃあもう嬉しかったよ。
 女の子のほうがかわいくていいなんていうやつもいたけれど、僕は男の子で心底安心したんだ。
 ああ、これなら他の男に奪われることはないってね。

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